医療法人秋桜会 福山眼科
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涙・ドライアイ

「涙」とは医学的に何ですか?

まず、涙の語源のお話からしましょう。

「涙、英語で言うtear」とはインドヨーロッパ語のdacru、つまり「眼から流れる水」という言葉から発生しています。 通常思い浮かべる涙というのは泣いた時や目にごみが入った時に眼からポロポロこぼれ出る水のことですよね。このほかにも眼を守るために常時ある一定量の涙が出ています。

涙は主に涙腺という眼の外上方、つまり眼の上で少し耳寄りのところにある涙腺という親指の頭くらいの大きさの組織から主に分泌されています。
他にも副涙腺と呼ばれる組織からも分泌されています。

涙はその後目頭のところにある涙点と呼ばれる涙の出口から涙道を通って鼻へ向かって流れ出たり、目の結膜から吸収されたり、蒸発によって眼から出てゆきます。

泣いた時に鼻水が出るのは涙が鼻に流れてきているためなのです。

涙の役割って何でしょう?

涙はいろいろな仕事をしています。

まず、眼がきちんと物を見ることができるように、眼の表面を滑らかにしたり、角膜の表面を乾燥から防いで透明に保っています。
ごみが入ってきた時には反射として涙がたくさん出てごみを洗い流しますし、病原体が入ってきたときには涙の中にある抗体、リゾチーム(lysozyme)などの殺菌物質が働いて眼を保護しています。

また、瞬きをするときに眼瞼、まぶたと角膜が摩擦しないような潤滑油の働きもしています。

涙の成分とは?血液との違い

涙は水の中に電解質、蛋白質、酵素、ビタミンなどを含んでいます。
電解質は、ナトリウムやカリウム、カルシウムなどです。蛋白質は、ラクトフェリン、フィブロネクチン、イムノグロブリンAなどですし、酵素としては、リゾチーム、アミラーゼなどがあります。ほかにビタミンAなども含まれています。

含まれている物質は他の体液とほぼ似ていますが、それぞれの濃度が違っています。
涙のpHは、7.3から7.7くらいで他の体液とほぼ同じ弱アルカリ性です。

このように、涙は他の体液、特に血清とは成分が似ています。ドライアイと呼ばれる涙の分泌量が低下する病気がありますが、重症で涙がほとんど出ない方ではご自分の血液からとった血清を治療として涙の代わりに点眼することもあります

なぜ涙が流れるのでしょうか?

涙には、反射性分泌と情動性分泌があると言われています。
基礎分泌と呼ばれる常時目を潤しておく分泌もあると言われていましたが、これは今では反射性分泌の一種だと言われています。

反射性分泌は、眼が受けた刺激に対して出る涙のことです。
目にごみが入ったり、怪我をしたり、強い光を見たりした時に出る涙がそうです。三叉神経と呼ばれる目や、顔、鼻にある神経や視神経が強い刺激を受けると、脳内の涙腺核から副交感神経を介して涙腺から涙が分泌されるのです。

情動性分泌というのは、脳の中の前頭葉皮質に刺激を受けたときに出る涙と言われています。
悲しい時に出る涙がそうです。この情動性分泌は「ヒト」に特有であると言われています。
このために動物を使っての実験ができなくて、仕組みがまだうまく解明されていません。

「痛み」「感情」「あくび」でなぜ同じ「涙が流れる」のでしょうか?

「痛み」は先ほどお話した反射性分泌です。「感情(悲しみ)」は情動性分泌ですね。「あくび」は、あくびをすることにより顔の筋肉が動いて、「涙嚢」と呼ばれる涙をためておく袋が顔の筋肉によって押されるために、涙が涙嚢から眼に逆流してこぼれることにより涙が出ると言われています。

ちなみに、怒った時や悔しい時は交感神経優位の刺激なので、ナトリウムの多いしょっぱい涙、嬉しい時は副交感神経優位なので水っぽい涙が出ると言われています。

涙に関する病気が何かありますか?

代表的な病気を一つだけお話しましょう。今よく話題に上るドライアイです。

ドライアイは涙の分泌量が低下し眼が乾燥するために、角膜に傷が入ったり、眼があけづらいほどになったりして眼精疲労の原因になっていることもあります。

眼科で涙の分泌量を測ることができますので、眼の乾燥感が気になる方 は1度眼科で検査を受けてみられては如何でしょうか。

ドライアイの場合には、通常は涙液を補給するための点眼薬を継続して使って、眼球の乾燥を防ぐことが治療の中心となります。
重症である場合には、先ほどお話した自己血清の点眼や涙点もしくは涙道を閉鎖する処置や手術が必要なこともあります。

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