ICL(後房型水晶体眼内レンズ)
ICL(Implantable Contact Lens)とは?
a.ICLは何に使用するもの?
- ICL(眼内コンタクトレンズ/後房型水晶体眼内レンズ)とは、眼の中に入れることによって、視力を矯正することができるレンズのことです
- シャープで鮮やかな見え方が期待されます。
- 入院不要の手術で、翌日には快適な視力回復が期待されます。
- ごろつきや異物感がなく、ドライアイにもなりにくい目に優しいレンズです。
- ずっとレンズのお手入れは不要です。
- 万一の場合には、レンズを取り出して元の状態に戻すことができます。
- 紫外線をカットする機能もあります。
b.ICLの材質
- ICLのレンズの素材は、コラマーという、コラーゲンとHEMA(ハイドロキシエチルメタクリエート)を共重合させた新素材です。生体適合性が高く、眼の中で炎症や拒絶反応を起こすことが少なく、紫外線カット機能もあります。
他の屈折矯正方法との違い
ICLの手術
手術適応
- 年齢:18歳以上。なお、未成年者は親権者の同意を必要とする。
水晶体の加齢変化を十分に考慮し、老視年齢の患者には慎重に施行。 - 対象:屈折度が安定しているすべての屈折異常(遠視、近視、乱視)。
- 屈折矯正量:6D以上の近視とし、3D以上6D未満の中等度近視および15Dを超える強度近視は慎重に施行。
- 活動性の外眼部炎症や白内障、内眼部炎症、強度の円錐角膜などのあるもの、妊娠中のものは禁忌とされている。
術前検査
裸眼視力、矯正視力、屈折度検査、角膜形状解析その他、手術前には多くの検査を必要とする。コンタクトレンズを装用している場合、手術前の検査を行うにあたって事前にコンタクトレンズを装用していない期間を必要とする。一度の検査では不十分と思われる場合、複数の検査日を設ける場合がある。
手術当日の流れ
指定された時間に来院。再度確認のために、屈折検査や視力検査等を行う。 麻酔薬や抗生物質、散瞳薬の点眼を行った後に手術を施行する。手術後1~2時間の経過観察ののち、視力検査、眼圧測定、前眼部解析、細隙灯顕微鏡などによる検査を行う。その後、薬の処方や注意事項の説明後帰院となる。
ICL手術の概要
ICLの手術費用
a.手術費用
- 乱視矯正のないICLを使用する場合:両眼 60万円(税込)
- 乱視矯正のあるICLを使用する場合:上記料金に、片眼につき3万円(税込)追加となります
b.薬剤代
5000円前後(自費手術のため保険適応となりません)
LASIKとの違い
利点、欠点
手術後に必要がある場合にはICLを摘出して元の状態に戻すことができる、角膜を削らない、というのがLASIKに比べての大きな利点です。
また、軽度であれば円錐角膜などの角膜疾患があっても慎重に行うことができます。
ICLの手術適応が6Dを超える近視(3~6Dの中等度近視は慎重に施行)であるために、3D未満の軽度の近視は、LASIKが良い適応となります。逆に10Dを超える強度近視の場合、LASIKの手術適応ではなく、ICLの手術のほうが向いています。
また、ICLは内眼手術(眼の内側に対して行う手術)、LASIKは外眼部手術(眼の外側に対して行う手術)という違いもあります。いずれも感染症や創の離開などに注意する必要がありますが、眼内に感染を起こした場合、外眼部のみの手術の時よりも重篤になる可能性があります。
さらに、ICLの場合、挿入したレンズのサイズが大きかった場合、前房(角膜から虹彩やレンズ前面までの距離)が浅くなり、眼圧が上昇する緑内障を起こしたり、サイズが小さい場合、レンズが水晶体に接触して白内障を起したりするリスクがあり、その場合再度手術をして、レンズを交換する必要があります。
手術前の検査の際に、眼の形状やサイズを慎重に計測して、ICLのサイズを選びます。それでも、頻度は少ないですが、ICLのサイズが目に合っていなかったということは、起こりえます。
ICL認定医
ICLの手術は、Staar Surgical社の研修と手術実習の試験を受けて合格した眼科専門医でないと行うことができません。
院長の福山会里子はこの試験に合格してICLの手術を行うことのできるCertificate(資格認定)を得ています。