白内障
治療
白内障の初期においては進行をある程度遅らせる治療法として点眼薬を続ける方法があります。
内服薬や注射薬もありますが、進行した白内障を治すためには手術が必要になります。
白内障の手術では、角膜の縁に2mm強の創を作成し、その創口から細い、超音波を発振したり濁りを吸引したりことのできる機械を挿入し、眼内の濁った水晶体を取り出して、人工の透明なレンズに入れ換えをします。
とても細かい操作をしないといけませんので、手術用顕微鏡で見ながら行います。
当院での院長の手術中の様子。
手術に関するよくあるお問合せ
手術の時間は?
白内障の手術は医学会の中でもどんどん発展している分野で、今では、点眼薬の麻酔で10分くらいで手術を終了することが出来ます。
もちろん、白内障の進行の程度や他の病気を合併していないかどうかによって、手術の難易度や手術時間は大きく変わってきますが、当院では軽症の方は5〜10分で手術が終了します。
したがって入院の必要もありませんし、通常の日常生活程度のことは充分できます。
ただし、当日は入浴や飲酒は控えた方がよいでしょう。
どのくらいで見えるようになりますか?
通常通り手術が終了し、元々ほかの眼疾患がない場合には、翌朝から生活に困らないくらい見えます。術後炎症の程度は個人差がありますが、炎症が軽度の場合は翌朝からよく見えます。
ほかの眼疾患が合併していたり、白内障が強度になりすぎていたり、手術中に眼や顔が動いたりする場合には、難しい長時間の手術になり、手術後の炎症が強くなることがあります。
この場合には手術翌日はかすんで見づらいですが、点眼、内服、点滴による治療を続けることにより、徐々に回復します。
Blue-blocking IOL(着色眼内レンズ)
紫外線吸収機能のみの眼内レンズでは、まぶしさや色の見え方が自然でない場合がありますので、当院では、『Blue-blocking IOL(着色眼内レンズ)』という、眼に有害な短波長(青色の光)を20歳代の人の水晶体くらいにカットする能力を持つ世界でも最新の眼内レンズを使用しています。
2007年5月より着色レンズに更に非球面レンズの機能を付加したコントラスト感度がより良くなった(像がくっきり見えるようになった)新しいレンズを導入いたしました。
最新の眼内レンズを用いてもかなり古いタイプの眼内レンズを用いても白内障手術の料金は同じです。
当然仕入れ価格は最新の眼内レンズのほうがずっと高いため、よい眼内レンズを用いることは医院の経営の面からは好ましくありませんが、患者様には一番よい眼内レンズを使う必要があると当院では考えています。
乱視矯正眼内レンズ
手術前からある乱視を減少させるために、乱視の度数が付加してある眼内レンズを使用しています。
軽度の乱視の場合には、角膜のゆがみを取る角膜減張切開(LRI: Limbal Relaxing Incision)を行って治療することもあります。
この乱視矯正眼内レンズやLRIの研究や学会発表については、世界でトップクラスの成績を上げており、2010年のASCRS(アメリカ白内障屈折手術学会)では1位を受賞しました。
多焦点眼内レンズ
当院では従来から多焦点眼内レンズも扱っていましたが、2008年2月からこの多焦点眼内レンズの中でも新しくなって今までより更に見やすくなった多焦点眼内レンズを日本でも手術時に正式に使用できるようになりました。(厚生労働省の認可が下りました)
この多焦点眼内レンズを使用すると遠くの視力が良くなると同時に近く(眼から30cmくらいの近い距離)もよく見えるようになります。このために遠くを見るときにも近くを見るときにも『メガネがないと見えない!』ということが減ります。通常の日常生活くらいのことならほぼメガネがなくても困らなくなり便利です。
ただし、非常に細かいものを見るときにはメガネが必要となったり、暗いところでは光がにじんで見えたり、近くが見づらかったりなどの欠点がレンズの種類によってあります。
この多焦点眼内レンズを用いた水晶体再建術(白内障手術)は、選定医療となります。検査費用や手術費用、薬品費用は健康保険が適用されますが、眼内レンズに関しては通常の単焦点眼内レンズの金額との差額に関しては自費負担です。ただし、最先端のもっとも機能のよい多焦点眼内レンズは、厚生労働省の認可がまだ下りてないために選定医療の対象とならず、全額自費になります。
手術を受ける方の生活状況や趣味などに応じて眼内レンズを選べる時代になりました。ご自分にあった眼内レンズはどの種類なのかよく検討して適合した眼内レンズを選択しましょう。